筋トレやトレーニング法などネットで検索すると物凄い量の情報が収集できる時代になりました。
その結果、専門的な手法を取り入れ、能力を開花している方もいらっしゃると思います。
そんな中で、お子さん、ご両親やスポーツの指導者、教育関係者の方にぜひとも知っておいてほしいことがあります。
結論を先に言うと、「子供たちは、スポーツ独自の専門の動きだけを練習すべきではない」ということです。
サッカーならボールを使った練習、野球でいえば走りこみや投球、バッティング動作、バスケでいえばドリブルやシュート練習などです。基本的なことなので、やらなければいけないのですが、これだけでは不十分と言えます。将来の成長を考えるともったいないです。
たしかに短期的にみるとその競技自体は早く上達するかもしれません。
しかし、「子供たちの発達」という観点から考えてみると、それだけでは不十分と言えます。
まずは下の図を見てください。
こちらはスキャモンの発達・発育曲線という有名な図です。
20歳の発育量を100としたときの一般型、神経型、リンパ型、生殖型の発達・発育パターンを図にしたものです。
今回注目してほしいのは神経型の発達です。
神経型の発達は5歳ころまでに80%成長し、12歳前後で100%になります。
赤ちゃんが寝返りをできるようになり、四つ這い、ハイハイ、つかまり立ち、歩行と成長していく時期に合わせて神経系も発達していきます。
この時期は、神経系の発達がめざましい年代で、さまざまな神経回路が形成されていく大切な時期になります。神経系は、一度その経路が出来上がればなかなか消えません。
それはいったん自転車に乗れるようになると何年間も乗らなくても、いつでもスムーズに乗れるようになってることからも理解できます。
この時期に神経回路に刺激を与え、多種多様な動きを経験させることが、とても大切になります。
つまり12歳までは新しい動きを覚えていくことに向いている時期であり、習得も早いです。
この時期に1つの競技にしぼった練習を行うことで考えられるメリットとデメリットを整理していきます。
メリットは、その競技特有の動きを習得しやすいこと。
これは昨今の競技レベルの向上を考えても間違いありません。
デメリットは、競技特有の動き以外の動きの基礎がないままに成長してしまうことです。
一見そのスポーツは上手くできているように見えても全身が連動しておらず、その競技以外の運動が全然できていないということです。すると学年が上がったときに怪我が増えたり、壁にぶつかったりすることにつながります。
それでは、具体的にどんなトレーニングをするべきなのでしょうか。
答えは、単純です。
いわゆる、体育の授業で行うようなマット運動、反復横跳びやボール投げ、縄跳びや跳び箱などのジャンプ系の運動などです。
実際、当院にいらっしゃる子供達に上で挙げたような運動を行ってもらうとうまくできないことが多いです。体は非常に発達しているが、動きがぎこちない子が多い印象があります。
上に挙げた運動によって頚部や背骨のコントロール、重心移動や体の軸、平衡感覚が身についていきます。
これらのことを競技特有の練習だけでは解決は難しいです。基礎的な運動に戻ってトレーニングすることが最も近道となります。これは子供に限らず大人の方でも一緒です。トレーニングすればするほど体は動かしやすくなります。
これが、子供たちに必要な遊びでありトレーニングになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。